1 所有者不明土地とは?
 所有者不明土地とは、相続登記がされないこと等により、①不動産登記簿等を参照しても、所有者が直ちに判明しない土地、②所有者が判明しても、所有者に連絡がつかない土地のいずれかのことをいいます。
 こうした所有者不明土地が、高齢化の進展によって、年々増加しており、現在全体の土地の20%以上を占めるものとなっています。
 皆様の周辺にも所有者不明土地が存在する可能性は非常に高く、例えば会社の用地を広げるために購入しようとする土地が所有者不明土地であった、これまで自身の土地として利用していた土地の一部が実は所有者不明土地だったという場合など様々な場面で遭遇する可能性があります。
 この場合、皆様が所有者不明土地に関わる場合には、どのような法的処理が考えられるかを説明したいと思います。

 事例による検討
 所有者不明土地について、事例を3例挙げてみたいと思います。

(1)隣地の所有者不明土地の管理者がいないせいで、自己の土地に損害を受けた。
 この場合、所有者不明土地建物管理制度(民法264条の2第1項、同264条の8第1項)を利用することが考えられます。この制度は、2023年4月に、民法改正により創設された新しい制度です。同制度は、裁判所に所有者不明土地の管理者の指定を申し立てすることによって、管理者を選任し、選任された管理者に土地を管理させる方法です。申立てには、①所有者を調査しても不明であること、②管理が必要であると認められること、③利害関係人が申し立てることが必要となります。①については弁護士が登記名義人の戸籍、住民票を調査しても、所在が不明である場合には認められます。②③については、個別のケースによって具体的な損害が発生していることを示す資料をもってすれば、認められる可能性が高くなります。

 (2)所有者不明土地を利用するために所有者から購入したい。
 この場合も、⑴と同様に所有者不明土地建物管理制度によって管理人を選任し、管理人との間で売買契約を締結することが考えられます。ただし、この場合は、③の利害関係人といえるかの要件については、購入計画に具体性があり土地建物の利用に利害が認められるといえる必要があります。

 (3)これまで利用していた土地の一部が、実は所有者不明土地だった。
 この場合には、所有者不明土地を20年以上所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有しているとして、時効取得(民法162条1項)による所有権移転を裁判所によって認めてもらうことが考えられます。ただし、所有者不明ということはすなわち被告が不明ということということですから、公示送達(裁判所の掲示板に2週間掲示することで送達がなされたとする手続き)をもって、裁判所に審理を受ける必要があります。そして、被告がいない以上、当方から20年以上自己の土地として利用してきたということを相当の資料をもって証明することを要します。

 以上のように、所有者不明土地に関わる場合には、そのケースに応じて法的手続きの対応が変わりますので、一度弁護士へ相談いただければと思います。