1 懲戒解雇自体の要件
懲戒解雇を行うためには、
①就業規則において懲戒解雇事由が定められていること
②懲戒解雇事由に該当すること
③懲戒解雇の意思表示がされたこと
④懲戒解雇が権利濫用にあたらないこと
という要件を満たす必要があります。
要するに、従業員が、就業規則に記載されている懲戒解雇事由に該当する行為を行い、強制的に退職させることが相当である場合には懲戒解雇が可能となりますが、特に労働者保護の観点から④の要件を満たすかどうかについては厳しく判断がされます。
今回は、上記懲戒解雇の要件を充足しており実際にこれを行う場合に生じる問題について触れたいと思います。
2 待機期間について
犯罪行為等懲戒解雇に相当すると考えられる事案が発覚した場合、事案の詳細な調査を行うため、あるいは次に記載する除外認定が受けられるまで、出社させずに自宅待機させざるを得ないというケースがありえます。
こういった場合、原則として待機期間中の給与を支払わねばなりませんが、①不正行為の再発、証拠隠滅のおそれなどの緊急かつ合理的な理由が存するか、②懲戒事由調査等のための出社拒否期間につき賃金を支給しないとの規定が就業規則にある場合には、不払いとすることも可能です。ただし、不払いとできる期間としては、自宅待機を命じる目的を達成するために必要な期間に限定されます。また、結果として、懲戒解雇に相当する事実が認定できなかった場合は、不払いの期間について給与を支払う義務があるでしょう。
なお、一旦懲戒処分としての出勤停止処分を行った上で、重ねて懲戒解雇を行うことは不当な二重処分に該当するため許されません。
3 解雇予告手当の不支給について
従業員の解雇を行う場合、解雇日の30日以上前にその旨を告げない限り、解雇予告手当を支払わなければなりません。
懲戒解雇の場合も原則として同様ですが、労働基準監督署で認定を受けた場合には例外的に解雇予告手当を支給する必要がなくなります(「解雇予告手当除外認定」あるいは単に「除外認定」といいます。)。ただし、この認定を受けるハードルは高く、かつ即時にその判断がなされるわけでもないことに注意が必要です。
なお、除外認定を受けることなく解雇予告手当を支払わなかった場合、刑事罰の対象となります。
4 退職金不支給について
懲戒解雇の場合に退職金を不支給とできる場合は、①就業規則に不支給事由が定められており、かつ、②当該懲戒解雇相当行為が、それまでの勤続の功を打ち消すほどの著しい背信行為であったこと、の2つの要件を満たすことが必要です。つまり、就業規則に定めていない限り退職金不支給とすることはできませんし、定めていたとしても不支給と出来る場合は更に限定される、ということです。また、減額は良いが全額の不支給までは認められないと判断された裁判例も存在します。
最近は学校関係の相談が多く、また紛争の発生予防に関心を持っています。子供の遊び場制覇を目指しています。