1 退職について
民法627条において、「雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定められています。退職の意思を示すことが、上記「解約の申入れ」にあたりますが、以下において、退職に際する留意点をいくつか述べたいと思います。
2 退職届について
退職届とは、労働者による退職の意思を一方的に会社に通知する文書をいいます。退職届が提出されれば、遅くとも2週間の経過をもって労働契約は終了します。
但し、後記の通り、宛先や提出先については、人事権を有する者である必要があります。
退職届については、(会社が同意すれば格別、)撤回の余地がありません。
3 退職願について
退職届に似たものとして、退職願があります。こちらは、その名の通り、労働者から会社に対し、退職を願い出る文書で、これを提出するのみでは退職の意思表示とはならず、退職願に対し、(後述する通り)人事権を有する者が同意・了承をすることにより、合意退職の効果が生じます。
退職願については、上記会社側の同意・了承がなされるまで、提出した者は、これを撤回することが可能とされています。
4 宛先・提出先について
ネット記事などで、退職届を提出して14日経てば退職できる、というような記事をしばしば目にすることがありますが、退職届が有効であるためには、上記で触れた通り、人事権を有する者に提出される必要があります。
会社において、人事権を有する者とは、原理原則でいえば代表者であり、(いわゆる)職務権限明細表などによって、人事部門等に人事権が委嘱されていれば、その部門の長になります。
漠然と、上司の者を宛先として退職届を提出し、有効と誤認している事例に遭遇したことがありますが、その上司の者に人事権が委嘱されていない場合、退職届の有する、退職の意思の会社への一方的な通知という効果は生じません。
会社側としては、そのような退職届は無効である旨を主張することができます。
法律事務所・官公庁(国土交通省)・商社内部の勤務で、約15年の経験があります。
訴訟やM&A等において、依頼者が望む解決について、十分な実績・経験があります。
単に「法律的にこうなる」として話を終わらせるのではなく、事実関係を丹念に把握・記憶して、事実に即した丁寧な主張や解決策の提案を行うことを心掛けています。