無期転換ルールの改定と雇い止めについて

無期転換ルールと雇い止め

1 無期転換ルールとその改正
無期転換ルールとは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みにより、雇用契約の内容が、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される制度のことをいいます。
本ルールは2015年に導入されましたが、これが改正され、2024年4月より明示しなければならない事項が追加されます。
具体的には、
・就業の場所や業務の範囲の変更の範囲
・有期雇用契約の更新にかかる上限の有無と内容
・無期転換の申込機会
・無期転換後の労働条件
についての明示が必要となります。

2 雇い止め
有期契約を、契約どおりの期間で終了させる場合のことを雇い止めといいますが、契約自体が実質的に無期雇用者と変わらないような場合や、契約の更新に合理的な期待が生じているような場合については、雇い止めが認められないことがあります。
具体的には、
・更新回数が非常に多かったり、契約の通算期間が非常に長い
・契約更新手続が全く行われていないか、形式的な手続しかなされていない
・業務内容や職責が正社員とほとんど変わらない
・過去に同じような地位での雇い止めの事例がまったくない
といったケースでは、雇い止めが認められない可能性が出てきます。
1記載の通り、法改正により、契約更新についてその上限回数の明示が必要となりますが、これを明示していたとしても雇い止めにより無期転換することを避けられるかというとそういうわけではなく、上記に記載した事情によって雇止めの可否が判断されることには変更がないと思われます。
各企業様におかれては、上記法改正もございますので、更新手続の際にきちんとした説明を行うとともに、有期職員については、その業務内容や責任の重さにつき正社員との差別化を行う(これは同一労働同一賃金の関係でも重要です)ということを心がけられてください。

弁護士 碇健太郎