●債権差押命令が会社に届いたら
 ある日、突然、会社に裁判所から「債権差押命令」が届き、中身を確認してみたところ、「債務者が第三債務者に対して有する別紙差押債権目録記載の債権を差し押さえる」と書かれており、「催告書」も入っている!どう対応したらいいのかわからない、ということで時々ご相談をお受けします。

 これは、簡単に言うと、金融機関等の「債権者」が、従業員に対する貸付等の債権に関して回収するために、その従業員の会社に対する「給料債権」を裁判所の手続きを通じて差し押さえたということです。いわゆる強制執行というものです。
 会社は、この命令の中では、「第三債務者」と呼ばれます。「債務者」は従業員です。
 このような債権差押命令が会社に届いた場合、この通知を無視してはなりません。
 封書の中に、「陳述書」という書面が入っていますので、必ずご確認ください。
 陳述書は、会社が分かる給与等の情報を記載して、裁判所と債権者に郵送にて送り返す必要があります。
 「陳述書」については、裁判所作成の記載方法等のQ&Aが入っておりますので、詳細は割愛しますが、理解しておいていただきたいポイントをお伝えします。

① 差押命令を無視して、当該従業員に給与を「全額」支払うと、債権者から会社に対して請求権が発生し、二重払いのリスクがあるため、決して命令を無視しないでください。

② 対象になる給与は、命令が会社に郵便で届いた日以降の分のみです。

③ 正社員だけではなく、パートやアルバイトも対象です。給与が対象ですから、業務委託契約(請負)の報酬は対象外です。

④ 差押のため給与から控除した給与(金銭)については預かりとし、金融機関等の「債権者」から連絡があるのを待ってください。債権者が会社に連絡してきて、振込先口座等の情報を提供してくれます。

⑤ 債権者へ支払うのは、命令が「債務者」である従業員に届いた日から4週間(例外的に請求権が養育費等の場合は1週間)を経過した後でなければなりませんので、債権者から連絡があったからといってすぐに支払わないでください。

⑥ 給与債権の差押の効力は、退職して給与がなくなるまで、あるいは、債務が完済されるまでは原則として継続します。

 その他、書面の内容等でご不明な点等は、当事務所にお問い合わせください。