「能力不足社員」について適切な対応を!

1 企業として、社員の「能力不足」に悩ませられることがあります。
  企業としては、社員には企業が想定している水準での労働を期待しますが、社員の能力がその水準を大きく下回る場合に、このような問題が生じます。
  しかしながら、わが国の法制において、労働者の解雇は容易にはできないですし、現在の採用難の社会状況の中で他の労働者を確保することも難しいことから、企業としては慎重な対応が必要となります。

2 労働契約においては、期待される職務遂行能力の定義は困難ですし、期待される能力には適切なコミュニケーションをとることも含まれること等から、一義的な契約内容の特定は困難であり、ここに対応の難しさがあります。

3 以上の前提をふまえ、企業の標準的な対応としては以下のとおりの手順での対応が望ましいです。なお、以下の対応をする際には、すべて「書面化」「記録化」することをおすすめします。
①求められる能力を可能な限り明確化する(事前に)。
②求められる能力が不足していることを可視化する。
③上記①及び②を対象者本人に明確なかたちで指摘する。
④指摘の上で、改善すべき点を指導(明らかに改善されない場合はこのステップは不要ですが、そのよ
 うな場合は少ないです)。また、指導の際には、改善点、期限等も明確化する。
⑤上記プロセスを経ても、状況が改善されない場合は
 ア 再指導 イ 配転等 ウ 退職勧奨 エ 解雇
 という順番での対応となります。

4 実際は、ケースバイケースですが、上記のとおりの対応をして初めて解雇が有効となる可能性がでてくるというのが実情です。また、このような段取りを経ても、解雇無効となる可能性も十分にあります。
  結論として、企業としては退職させる方向に固執せずに何とか状況を改善することを図ること及び採用時に丁寧な説明と認識の共有をして、このようなミスマッチが生じないようにするのがベストといえます。