貴社の就業規則の「標章及び制裁」の章に、自宅待機命令の条項があるかどうかご存じですか。

 従業員の非違行為が発覚した際に、懲戒処分を行うため事実関係の調査や懲戒の検討等を行うために当該従業員を出勤させず、自宅待機を命じる措置です。
 条項において、「自宅待機の期間中は給与を支払わない」旨定めている場合もありますが、この自宅待機期間中に、法的に給与の支払義務があるかないか、がしばしば問題となります。

対応としては3パターンが考えられます。
 1. 全額支払う
 2. 会社都合での休業に準じ6割を支払う
 3. 全額支払わない

 この問題に関して、裁判所は「自宅待機命令が、懲戒解雇事由がある場合であり、採取処分が決まるまでの間、当該従業員の労務の提供を拒むことに正当な理由があるといえるか、会社の労務の受領拒否が、会社の責に帰すべき事由(民法536条2項)によるものではないか」との観点から判断しています。
 例えば、会計担当者が会社の金銭等を業務上横領した場合、事実調査は要するも、懲戒処分としては重い処分が見込まれ、もはや会計担当者を業務につかせることはできないのは当然で、会社の責めに帰すべき事由ではありません。
 もっとも、自宅待機命令は、非違行為発覚後直ちに、事実調査前、事実関係が不確定な時期に発令されるものであることや、非違行為者に調査への協力を求める必要があり、少なくとも懲戒解雇以外の案件では、トラブル回避の観点からすると、原則としては⑴ないし⑵の対応がスムーズに懲戒手続きを進められることが多いと考えます。