何のために誰が引き出した?
1 相続が「争族」に。
相続案件を扱う中で、ご相談が多い類型のひとつとして、「使途不明金問題」があります。これは、亡くなられた方(被相続人)名義の預貯金口座について、死亡間際に多額のお金が引き出されていることが典型的な事案となります。被相続人の意思とは関係が無い中で、同人の預貯金を管理していた親族が無断でお金を引き出すという形が最も多い事案です。この場合には、その「引き出した者」に対して、相続人が賠償請求をする(引き出したお金の返還を求める)ことが考えられます。
当該請求には多くの検討すべき点がございます。
①被相続人は判断能力を有していたか(ex意思疎通が可能な状態だったか)
②誰が預貯金を管理していたか
③具体的な引き出し態様は何か
④引き出されたお金は何に使われたか(生活費の範囲内といえるか)
⑤預金の解約の場合、誰が窓口で手続きしたか
等様々な点が相互に絡み合います。そして、相続がまさに「争族」となってしまいます。
2 予防策について
特に、使途不明金問題が起きる事案としては、被相続人の方が入院をしている又は判断能力が落ちているケースとなります。人はいずれ亡くなる以上、相続は誰もが直面する問題となります。「争族」問題とならないためにも、預貯金を本人以外の方が管理しなければならないような状態の場合には、「どのように管理がされているか」「引き出された金員の使途が記録されているか」等について、本人が亡くなる以前から情報共有を図ることが大切なこととなります。
長崎オフィス所長の種田と申します。「種田(たねだ)」という苗字は、長崎県では珍しいかと思います。長崎出身の妻との結婚を機に移住し、3児の父として、仕事にも家庭にも奮闘しております。
「心は熱く、頭は冷静に」を信条としています。お客様に寄り添うとともに、冷静かつ客観的な視点を意識して案件に取り組んでおります。お客様と常にコミュニケーションを絶やさず、その思いを実現できるよう、尽力して参ります。